生体情報モニタには、
- HR(心拍数)
- SpO2(経皮的動脈血酸素飽和度)
- EtCO2(呼気終末二酸化炭素分圧)
- BP(血圧)
- BT(体温)
- VT(一回換気量)
などの情報が表示されています。
犬猫の麻酔モニタリングをする上では、特にEtCO2のカプノグラムの理解がとても大切です。
この記事では、「カプノグラムの波形による違いや意味について」愛玩動物看護師専門の当サイトが詳しく丁寧に解説していきます。
生体情報モニタに表示されている内容が分からない!という方はこちらをご参考にしてください。
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カプノグラムとは?
まずは、カプノグラムの意味についておさらいしましょう。
カプノグラムは、呼気中の二酸化炭素を測定しグラフ化したものです。
写真のような波形で表示され、目で視ることが出来ない二酸化炭素を自動かつ連続的に測定してくれます。
カプノグラムで分かること
カプノグラムは二酸化炭素以外にも様々なことが分かります。
例えば、
- 呼吸様式
- リーク
- 循環状態
- 呼吸停止
- 気道狭窄
- 心停止
- 誤挿管
これらが起きると特徴的な波形になるので、その形である程度判断することが可能です。
カプノグラムの正常な波形
カプノグラムは二酸化炭素を表す波形ですから、患者(動物)が息を吐いたときに台形のような波形が出ます。
つまり、呼気中ということですね。
反対に吸気中はどうなるかというと、吸っているときは二酸化炭素を吐き出さないので、波形はフラットになります。
第Ⅰ相から第Ⅳ相とは?
正常波形は「第Ⅰ相、第Ⅱ相、第Ⅲ相、第Ⅳ相」というように、それぞれ名前がついています。
第Ⅰ相
Ⅰ相は、呼気の始まりです。解剖学的死腔のため二酸化炭素による変化はありません。
つまり、この段階では二酸化炭素が存在していないため、波形は「フラットもしくはやや立ち上がり状態」になります。
口腔や鼻腔、気道内のガス交換がされない場所のこと。
第Ⅱ相
Ⅱ相は、肺胞内ガスと解剖学的死腔のガスが混じり、二酸化炭素分圧が上昇します。
簡単に言うと、肺胞内のガスが気管チューブについているサンプリングから二酸化炭素を検出します。
第Ⅲ相
Ⅲ相は、肺胞内の二酸化炭素を検出し、プラトー(平坦)を形成します。
また、プラトーの最後の値がEtCO2として表示されています。
第Ⅳ相
Ⅳ相は、吸気の始まりです。
二酸化炭素が出ないので二酸化炭素分圧は一気に0まで低下します。
プラトーは「吸気の最後で一時的に停止する時間」のことです。
文字では分かりづらいので、「深呼吸」をしてプラトーを体験してみましょう。
皆さんも一緒にやってみてください。
いきますよ!
「息を吸ってー! まだ吸ってー! 止めて!! そのままキープ! 息を吐いてーーー!」
深呼吸出来ましたか?
この「止めて!!」というのが、プラトーです。
つまり、一時的に呼気・吸気を止めることで、膨らみにくい肺胞にもガスが移動し効率よくガス交換ができるということです。
カプノグラムの波形一覧
カプノグラムの特徴的な波形をそれぞれ見ていきましょう。
正常な波形
自発呼吸の出現
自発呼吸への変換
食道挿管
気道狭窄
リーク①
リーク②
再呼吸
麻酔回路の異常
低換気
過換気
循環異常
心原性オシレーション
まとめ
カプノグラムを理解しておくことで、換気や循環状態などがより分かりやすくなります。
安全に麻酔モニタリングをするためには必要な知識なので、必ず覚えておきましょう!
忘れたときはまた見てくださいね!