動物看護師で最低1回は受けたことがある、
「そちらへ行った方がいいですか？」という電話ですが、
これにはどのように回答すればいいのか、お伝えしたいと思います。
早速ですが、結論は
「ご心配なら連れて来てください」と回答しましょう
この手の電話は「あなたに判断してもらいたい」という気持ちが込められています。
例えば、
愛犬がいつもより元気が無くて、ご飯を食べない状況だった場合、果たしてこれを様子見ていいのか、すぐに連れて行かないといけないのかを、
飼い主さんは電話で判断してほしいと思ってかけてきます。
ただ、皆さんもご存じの通り、短時間の電話で判断できるほど医療はそう簡単ではありません。
その症状がどういう状態なのかを判断（診断）するには、血液検査や画像検査などで調べる必要がありますね。
なのでそれを電話で行うことはできません。
さらにいうと、
「診断」は獣医師の独占業務になるので、私たち愛玩動物看護師が「様子見ていいですよ！」と言うことはできません。
愛玩動物看護師が診断できないのは分かったけど、
では、獣医師なら電話で診断できるの？ということについても解説していきます。
ときどき、飼い主さんは獣医師なら全て電話だけでやってくれると思っているかたもいます。
獣医師でも「電話診断」はできない
獣医師法によると
第四章 業務
（診断書の交付等）第十八条 獣医師は、自ら診察しないで診断書を交付し、若しくは劇毒薬、生物学的製剤その他農林水産省令で定める医薬品の投与若しくは処方若しくは再生医療等製品（医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律（昭和三十五年法律第百四十五号）第二条第九項に規定する再生医療等製品をいい、農林水産省令で定めるものに限る。第二十九条第二号において同じ。）の使用若しくは処方をし、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証明書を交付し、又は自ら検案しないで検案書を交付してはならない。ただし、診療中死亡した場合に交付する死亡診断書については、この限りでない。
e-Govポータル （https://www.e-gov.go.jp） 最終アクセス2021月6月28日
つまり、診断や治療（医薬品）は獣医師が「自ら診察」を行わないといけませんとなっています。
ちなみに「自らの診察」の定義は、
自ら診察：獣医師本人が、現在の獣医学的見地からみて飼育
動物の疾病又は健康状態の診断を下しうる程度の行為を、飼
育動物と直接対面した上で行うこと
「要指示医薬品の投与及び処方に当たっての注意事項について」 こちらを参照 最終アクセス2021月6月28日
まとめると、獣医師は直接対面で診察（触診、聴診、打診、問診、望診）をして、
診断や治療を行うということになりますね。
獣医師や愛玩動物看護師、病院スタッフの誰であっても電話で診断・治療をすることはできないので、
話はそれましたが、飼い主さんに言うとしたら、
ご心配でしたらいらっしゃってください
というのが適切でしょう。
「獣医師法の一部を改正する法律及び獣医療法の運用について」によると、
（２）獣医師法第１８条の診察とは、獣医学的見地からみて疾病に対して一応の診
断を下しうる程度の行為をいい、獣医師が自ら定期的に巡回する等して常に当
該農場の飼育動物の健康状態を把握している場合等において飼育者から病状の
聴取等をもって行うものも含まれる。
<5461726F2D8267826F8C668DDA977081694832362E31312E32358CBB8DDD> (maff.go.jp) 最終アクセス2021月6月28日
動物病院には該当しませんが、農場では一部の場合において聴取等で診察できるようですね。
電話相談は可能です
毎日のご飯のことや日常ケアについてはもちろん電話相談は可能ですし、
しつけや予防、体調管理といったことにもアドバイスをしてあげることができます。
病気や診療に関することは、診察をうながしてあげることも動物看護師の役目です。
※電話対応や相談に関する詳しい業務フローやルールについては勤務先の動物病院に確認してくださいね。
まとめ
もしも「動物病院に行った方がいいですか？」と言われたら、
「ご心配ならいらっしゃってください」とお伝えしよう。
電話で診察や治療はできないので、診察を促すか獣医師に確認して解答するほうが、
飼い主さんや動物病院にとってもお互いに良いでしょう。
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