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【動物看護】入院動物の面会対応で注意すべきポイント

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動物看護師は入院動物を飼い主に面会させる場面が多くありますが、そこでいくつか注意するポイントがあります。

この記事では、

・面会前にしておくこと
・面会時の注意点
・アフターコロナの面会対応

について、愛玩動物看護師専門の当サイトが詳しく丁寧に解説していきます。

面会対応が苦手な方や、普段担当していない動物看護師さんはぜひ読んでみてください。

目次

面会前にしておくこと

面会をする際に必ず確認しないといけないことがあります。

それは、飼い主と対面での面会をしてもいいのか獣医師に確認することです

というのも、疾患の内容によっては対面で面会することで、悪化させてしまう可能性があるからです。

例えば、
短頭種気道症候群(Brachycephalic Airway Syndrome: BAS)の手術では、術後の上気道閉塞・興奮・誤嚥などによって死亡する可能性が高いことが知られています。
飼い主との面会をさせてしまうことで興奮し気道閉塞や窒息、誤嚥などのリスクが高くなってしまいます。

また、アジソン病などの内科疾患でも分離不安な性格やストレスがかかってしまう可能性が高いときには、面会させない方がよいでしょう。
その他疾患では整形外科の術後も注意が必要です。

疾患はもちろんのこと、術式や入院動物の性格などを考慮し、興奮などによる悪化の可能性が無い場合に限り面会していただきましょう。

もし、対面での面会ができない場合にはタブレット等で入院中の様子が分かるように動画で撮影して、飼い主に見せます。

留置カテーテルなどは外れないようにする

面会時に抱っこや触ったりして、留置カテーテル等が外れることが無いようにヴェトラップのような自着性包帯で巻きます。

ドレーンやチューブが長い場合は、チューブ包帯を使用します。

  • 留置カテーテル
  • 中心静脈カテーテル
  • 経鼻酸素カテーテル
  • 経鼻胃カテーテル
  • PEGチューブ
  • ドレーンチューブ
  • 腎瘻カテーテル
  • 尿カテーテル

などの外れてはならない全てのカテーテルに行います。

ちなみに、エリザベスカラーは術創の保護やカテーテル関連の誤飲対策で基本的に装着したままのほうがよいですが、動物病院によっては面会時に必ず外すところもあります。

面会時の注意点

面会時には入院中の様子や一般状態を飼い主に伝えましょう。

具体的には、

  • 活動性
  • 睡眠状態
  • 排尿や排便
  • 食欲
  • 嘔吐や下痢

飼い主は、愛犬や愛猫が初めて入院したという可能性もあり、とても不安で入院中の様子が気になっている状態。

伝えられる情報は伝えて、少しでも不安を取り除いてあげることも面会の大事なポイントになります。

普段看護をしている動物看護師だからこそできる内容です。

さらに、疾患ごとによって伝えられる内容も変わってきます。

例えば、椎間板ヘルニアの術後の患者では神経学的に悪化していないかどうかや、圧迫排尿をしているのか尿カテーテルを入れているのかなどの情報も一緒に伝えてあげると、現在の状態も理解しやすくなります。

また、「疾患の詳細や治療内容、検査内容、手術内容」については獣医師の説明範囲になるので動物看護師では対応せずに、獣医師に依頼します。

※獣医師に説明範囲を指定されている場合にはそれに従いましょう。

猫の面会対応

基本的に猫の面会は逃走の恐れがない部屋で行い、入院ケージから連れ出す際はケージに入れて運ぶほうがよいでしょう。

もし、性格がシャイでケージでの移動によって悪化する可能性がある場合には、入院室での面会や動画を見せる方法で行います。

アフターコロナの面会対応

新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)の感染防止対策を面会時にも意識する必要があります。

具体的には、

  • 手指消毒を行う
  • 面会者の体温測定を行う
  • 呼ぶまで車や院外で待機していただく
  • 面会者の人数を制限する
  • 面会時間を制限する
  • 面会後の部屋を消毒する

などの対応が重要と考えられます。

動物病院によって対応方法は異なる場合がありますが、被毛からの感染や猫同士の感染などにも再度注意しましょう。

まとめ

入院動物の面会対応の注意すべきポイントは、

  • 面会をさせてもいいか確認する
  • カテーテル等を外れないようにする
  • 入院中の様子や一般状態を伝える
  • 面会時の感染防止対策を行う

飼い主の心情を理解しながらも、動物の性格的に難しい場合や症状の悪化が考えられるときには無理して面会を行わないことも大切です。

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