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【動物病院】オペナースの仕事内容とは!?「周術期の動物看護」

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動物病院で働いていると、手術に関わることがとても多いですよね。

例えば、

・患者の入院手続き
・飼い主さんへ絶食の指示
・同意書や手術承諾書の説明
・滅菌や器具の準備
・手術の助手
・術後の管理

など様々なところで関わります。

しかし、手術の始まりから終わりまで、あまりよく知らないという方も多くいらっしゃいます。

そこで、愛玩動物看護師専門の当サイトが「オペナースの仕事内容」について詳しくお伝えしていきます。

1年目の動物看護師や最近手術に関わるようになった方は是非最後までご覧ください!

目次

オペナースの役割

皆さんもご存じの『オペナース』という言葉ですが、これはどういう意味かご存じでしょうか。

  • 手術の助手をやる動物看護師のこと
  • 器具出しの動物看護師のこと
  • 外回りの動物看護師のこと
  • 麻酔モニターの動物看護師のこと

などというイメージはありませんか?

オペナースと聞くと、手術室の動物看護師という感じがするのですが、

正しくは「周術期に関わる動物看護師」のことです。

<周術期とは>
周術期とは、手術が決まったところから回復するまでの一定の期間という意味です。
具体的には、外来・入院手続き・手術準備・手術中・手術後・退院などになります。
それぞれの各項目については下記で詳しくご説明します。

そして、オペナースの役割は動物が無事に手術を終えて退院するまでのサポートを行うことです。

担当医や執刀医、麻酔科医、リハビリ担当などと協力して、動物看護師も関わっていきます。

各担当とコミュニケーションをしっかり取りながら準備や入院管理を行います。

入院から退院までの流れ

  1. 手術計画
  2. 入院の手続き
  3. 術前検査
  4. 手術の準備
  5. 手術中の管理
  6. 手術後の管理
  7. 退院の手続き

このような流れで進めていきます。

①~⑦は基本的に獣医師・動物看護師のチームで行い、それぞれ役割を分担します。

各項目を詳しく見ていきましょう。

①手術計画

手術計画では、まず患者が何の疾患で、どのような術式で行うのかを理解する必要があります。

例えば、異物による腸閉塞(術式:腸切開術)だったとしましょう。

この場合では、入院期間が最低数日かかりますし、それに食事管理もしなくてはいけません。

手術関連では、軟部外科器具等の準備も必要ですね。

このように入院手続きを行う前に確認をしておきましょう。

また、飼い主さんに手術前日からのNPO指示も忘れてはいけません。(手術当日にお預かりする場合)

NPO指示についてはこちらをご参考にしてください!

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②入院手続き

入院手続きでは、

  • 手術内容の説明
  • 手術や麻酔のリスクの説明
  • 合併症の説明
  • 入院同意書や手術承諾書
  • 入院期間について
  • 費用について

などについて飼い主さんへ説明をします。

手術の内容やリスク、入院期間は基本的に獣医師から説明を行いますが、「費用や面会の時間」などについては動物看護師から説明することがあります。

他には、入院同意書や手術承諾書等についても動物看護師が担当する場合があります。

入院手続きの注意ポイント

動物をお預かりするときには飼い主さんへ、いくつかヒアリングを行います。

例えば、

・絶食の確認
・普段の生活状況
・普段の食事内容
・内服薬の有無
・毛刈りの承諾

などです。

上記のような情報も周術期に必要で、特に内服薬の有無については必ず聞いておきましょう。

もともと、心臓に疾患がある子やホルモン系疾患の患者さん等は注意が必要です。

その他では、排尿や排便を外でしているか家でしているかによっても、術後の管理に影響してくるので、普段の生活状況は入院手続きの段階で聞いておきます。

③術前検査

術前検査では、手術を行う前に患者の状態を評価します。

その項目は、【体重・体温・心拍数・呼吸数・血圧・栄養状態・水和状態・血液検査等】です。

手術が出来る状態なのかを、術前検査によって判断します。

バイタルサインや血液検査はどのような患者でも必ず行います。

血液検査の内容
術前検査で行う血液検査は「CBC、血液生化学、凝固系、炎症マーカー」です。
動物病院や担当医によっても項目は異なる場合があります。
血液検査以外では、X線検査や超音波検査も基本的にはスクリーニング検査として行います。

ちなみに、ヘマトクリット値や血小板数、凝固系の数値によっては、手術を中止する場合も。

当然、血が固まらない状況では手術はできません。

これらの数値が出たらすぐに獣医師へ報告しましょう。

バイタルサインについてはこちらをご参考にしてください!

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血液検査の基礎はこちらをご参考にしてください!

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術前検査のポイント

患者の取り違いに注意しましょう。

例えば、同じ整形外科手術を行うアプリコットのトイプードルが2匹いたとします

片方は右足の手術でもう片方は左足だった場合、見た目では区別がつかないこともあります。

このような患者や術野の取り違いを防ぐためにも、預かり時にはテープやバンテージなどで、患者の名前を記入しておきます。

テープを首輪のようにすると外れにくくなります。

④手術の準備

手術の準備は、

  • 手術で使用する消耗品の滅菌
  • 器具の滅菌
  • 処置室の準備
  • 手術室の準備
  • 麻酔の準備
  • 導入後の処置(剃毛、消毒、局所麻酔等)

などがあります。

周術期において、手術の準備が一番重要と言っても過言ではありません。

麻酔をかける前にしっかり準備をしないと、術中に慌てることになるからです。

また、そうなると麻酔時間も伸びてしまい、動物に影響を与える可能性もあり危険です。

事前にチーム内で「術式や使用する物、必要な器具等」について打ち合わせするようにしましょう。

手術準備の注意ポイント

手術室を準備する前に、術式が何になるのかを必ず確認しないといけません。

例えば、会陰ヘルニアの手術では、ジャックナイフという体位で行います。

【ジャックナイフ体位】

看護roo!フリー素材より画像使用

犬や猫の場合では、下腹部にタオル等で段差を付けて、足が垂れ下がるようにします。

これも事前に準備をしておかないと、手術室に移動してからでは遅いですよね。

同じ疾患でも術式が異なる場合もあるので注意しましょう!

⑤手術中の管理

手術中におけるオペナースの役割は主に3つです。

  1. 器具出しや助手
  2. 外回り
  3. 麻酔モニタリング

1.器具出しや助手

器具出しや助手をするオペナースは、執刀医がスムーズに仕事が出来るようサポートを行います。

どのようなサポートかと言うと、「視野の確保、器具渡し」などです。

執刀医が必要とする器具をすぐに渡せるかはとても大切なポイントです。

そのため、手術で使用する器具の名称や執刀医特有の言い回しの器具は、必ず覚えておきましょう。

2.外回り

外回りのオペナースも同様に必要な器具や消耗品をすぐに出せるように、名称を覚えておかないといけません。

特に縫合糸は様々な種類があり、一つ違うサイズを渡してしまっただけでも、手術に多大な影響を与える場合もあります。

今どのような進行具合なのかを常に把握しておきましょう。

3.麻酔モニタリング

麻酔モニタリングでは動物の状態を「生体情報モニタや五感」で常に看視する必要があります。

数値を追っているだけでは、ただ見ているのと一緒ですから、どういう状態なのかに意識をしてモニタします。

変化があればすぐに獣医師へ報告しましょう。

また、麻酔記録も麻酔モニタリング担当の仕事です。

麻酔モニタリングについてはこちらをご参考にしてください!

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手術中管理の注意ポイント

国家資格後は助手や麻酔モニタリングでは、獣医師指示の下によって出来る内容が増えていきます。

そうなると、動物看護師にも責任が発生するので、正しい知識と技術を今のうちから習得していきましょう。

ただし、決してネガティブに考えるのではなく、「よりチームとして機能するようになる」という目線でポジティブに考えてくださいね!

⑥手術後の管理

手術後の管理で大切なのは「バイタル、疼痛管理、栄養管理、水和管理」です。

抜管した後は呼吸障害が起きていないかをしっかりモニタし、血圧等の循環動態や体温にも注意します。

疼痛が重度の場合には追加の鎮痛が必要ですから、適宜獣医師に報告しましょう。

栄養や水和状態は術後の回復に大きく影響してくるので、腸の状態を確認し消化管運動の回復を促進させます。

ただし、手術内容によっては栄養摂取のタイミングが異なる場合もあるので、担当獣医師に必ず確認しましょう。

疼痛評価についてはこちらをご参考にしてください!

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手術後管理の注意ポイント

術後管理では、「発熱、出血、尿量、感染症、イレウス」にも注意して看護を行います。

術部がきれいに保たれているか、浮腫や腫脹、排膿の有無も確認します。

事前に看護計画を立てて、注意深く観察していきましょう!

⑦退院の手続き

退院が決まったら、術後の栄養指導や自宅での過ごし方など、飼い主さんに必要な内容を伝えます。

例えば、抜糸までカラーを外さない、整形ならジャンプさせないなど、当たり前のことでも1から10まで説明します。

ここで説明不足だった場合には、術創の治りを妨げたり、悪化させることもあります。

飼い主さんがしっかりと理解出来ているか、相手の顔を見ながら確認していきましょう。

退院手続きの注意ポイント

内服薬や投薬方法の説明も行います。

どのような薬で、どのように与えるのか、もし飲まなかった場合はどうするのか。

予め想定できる内容は事前にお伝えしましょう。

また、入院手続きの時にヒアリングした自宅環境が退院後の環境に合っていない場合は、可能な範囲で説明します。

周術期チームにオペナースは必要

手術はチームで行うものです。

ごく一部の人だけでは、入院から退院まで円滑に進むことはできません。

執刀医や助手、麻酔モニタ、外回り、機械出しなどチームワークが必要です。

そのどれにも関わることのできるオペナースは、チームをうまく動かすためのカギになります。

覚えることが多く時間もかかり大変ですが、やりがいはたっぷりなので率先してやっていきましょう!

まとめ

オペナースは周術期に関わる動物看護師のことで、入院から退院まで動物をサポートします。

入院から退院までの具体的な流れは、

  1. 手術計画
  2. 入院の手続き
  3. 術前検査
  4. 手術の準備
  5. 手術中の管理
  6. 手術後の管理
  7. 退院の手続き

となっています。

どこを切り抜いても全て重要な仕事ばかりなので、責任をもってこなしていきましょう!

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