目が赤い、目をしょぼつかせている…など、犬や猫が目のトラブルを抱えて、来院する機会は多いです。
そのようなときには、迅速に眼科検査を行い、診断・治療する必要があります。
この記事では、犬猫の眼科検査の種類や方法について、愛玩動物看護師専門の当サイトが詳しく丁寧にお伝えしています。
眼科領域では特殊な検査が多くあります。
眼科検査の種類や方法の基礎を知りたい動物看護師さんはぜひ読んでみてください。
犬と猫の眼科検査
犬と猫における眼科検査としては、
- 問診
- 視診
- 触診
- 培養検査
- シルマー検査(STT)
- 眼圧測定(IOP)
- 隅角検査
- 眼科神経学的検査(瞳孔対光反射、威嚇まばたき反応、コットン落下試験、障害路歩行など)
- 細隙灯検査(暗室にて行う)
- 眼底検査(暗室にて行う)
など、特殊な検査が様々あります。
状態や症状によっては、
- 眼部超音波検査
- 光干渉断層計(OCT)
- 網膜電図(ERG)
- CT検査、MRI検査
なども組み合わせて行います。
以下で、通常の診察でよく用いられる眼科検査を、分けて説明していきますね。
問診と視診
すべての症例は、問診と視診から入るため、とても大切な検査です。
・気にして掻いたり、こすっているのか
・元気や食欲などの一般状態は悪くないのか
などの問診と合わせて、
・眼脂や充血の有無
など、目やその周囲の状態(眼瞼の閉じ具合、鼻鏡の乾き具合など)をみていきます。
医療用のペンライトや透照器などを使用することで細部を観察します。
触診
眼球の硬さや周囲リンパ節の触診を行います。
また、眼瞼に触れることにより眼瞼反射を誘発させ、顔面神経の異常の検出も行います。
視覚の検査
視覚を検査するためには、
- 瞳孔対光反射
- 威嚇まばたき反射
- コットン落下試験
- 視覚性踏みなおり反応
などを行います。
瞳孔対光反射
医療用ペンライトにより、瞳孔に正面から光を5秒あて、縮瞳を誘発させる検査です。
威嚇まばたき反射
動物の眼に手などを近づけて瞬目反応が生じるかを検査します。
手を近づける際に風を起こさないようにするため、透明な下敷きなどを間に入れて行います。
コットン落下試験
動物の注意をコットンにひきつけ、落下させたときに目で追うことを確認する検査です。
障害路歩行
椅子や段ボールなどで障害路(迷路)を作って動物を歩かせ、障害物にぶつからずに歩けるかを確認する検査です。
涙液の検査
涙液の検査のためには、
・涙液基礎分泌量の検査
・貯留涙液の検査
などを行います。
シルマー試験
乾性角結膜炎(KCS)の診断に用います。
シルマー試験紙の丸くカットしてある方の先端の部分を、下眼瞼外側1/3の結膜嚢内に挟み、1分間測定して、ろ紙の湿った部分の長さを測定します。
犬の下限値は9mm/1分であり、これを下回ると明らかなKCSと診断されます。
細隙灯による前眼房の検査
眼を照明して拡大することで、眼瞼から硝子体の前方までを詳細に観察する検査です。
角膜の染色検査
角膜の染色検査には、
- フルオレセイン染色
- 鼻涙管の開通性の検査
- 角膜穿孔の検査
- ローズベンガル試験
などがあります。
フルオレセイン染色
角膜潰瘍の検査法です。
色素のついている試験紙を濡らし、角膜に触れないようにして少量滴下します。
コバルトブルーフィルターを通した青色光で潰瘍の有無を確認します。
鼻涙管の開通性の検査
フルオレセインを眼球に滴下し、コバルトブルーフィルターを通した青色光で、鼻腔からフルオレセイン色素が排出されたのを確認します。
眼圧測定
高眼圧、すなわち緑内障の診断に用います。
犬も猫も、眼圧が25mmHgを超えると、高眼圧であるとみなされます。
隅角検査
緑内障の診断において、隅角の広さを観察し、閉塞隅角や異型性がないかを確認します。
眼底検査
眼底の血管や視神経に異常がないかを肉眼的に検査します。
散瞳薬を点眼し、暗室にて眼底像を確認します。
眼部超音波検査
白内障などで眼底が観察できない場合や、眼窩部の内部構造を評価したい場合に用います。
汎用、もしくは眼科用の超音波検査装置を用います。
まとめ
獣医療の眼科領域には様々な検査があり、これらを組み合わせて総合的に診断していきます。
お伝えした検査法は日常的によく用いるものなので、しっかり確認をするようにしましょう。