「SHAREプロトコル」はあまり聞きなれない言葉ですが、これは医者が患者にがんの告知など悪い知らせを伝えるときのコミュニケーション技術のことです。
これは獣医療でも当てはまり、さらにいうと動物看護師が知ることで飼い主のサポートを行うことができます。
この記事では、
・SHAREを通して動物看護師ができること
これらについて愛玩動物看護師専門の当サイトが詳しく丁寧に解説していきます。
二次診療施設や救急病院で働く動物看護師さんはぜひご覧ください!
SHAREプロトコルとは?
SHAREプロトコルは医者が患者に「がんの告知、再発や転移、治療の中止」など悪い知らせを伝える際のコミュニケーション技術のことで、国立がんセンター東病院の研究結果から頭文字をとって「SHARE」と名付けられました。
SHAREの文例の一部
【S:Supportive environment(支持的な環境)】では,「落ち着いた環境を整える」「信頼関係を構築する」ことを目標とし,礼儀正しく接する,患者や家族の目や顔を見て話すといった点に注意する。
出典:白井由紀・藤森麻衣子・内富庸介,2009,Ⅱ.「緩和ケアと教育と研修」4.SHAREプロジェクト:コミュニケーション・スキル・トレーニング(CST)プロジェクト,
【H:How to deliver the bad news(悪い知らせの伝え方)】では,「患者に対して誠実に接する」「患者の納得が得られるように説明する」ことを目標とし,明確な言葉で伝える,(中略)悪い知らせを伝える前に,患者の認識を確認するといった点に注意する。
【A:Additional information(付加的な情報)】では、「今後の治療方針に加えて,患者個人の日常生活への病気の影響など患者が望む話題を取り上げる」「患者が相談や関心事を打ち明けることができる雰囲気をつくる」ことを目標とし,(中略)患者が質問しやすい雰囲気を作るといった点に注意する。
【RE:Reassurance and Emotional support(安心感と情緒的サポート)】では、「患者の気持ちを理解する」「共感を示す」「患者と同じように家族にも配慮する」ことを目標とし,(中略)家族の理解を確認するといった点に注意する。
https://www.hospat.org/hakusyo/pdf/2009_2_4.pdf
このSHAREはヒト医療で開発されたものですが、獣医療でも患者(動物)の家族(飼い主)にがんを伝える場面は多く、また動物看護師が立ち合いをしたり、面会などで家族と接することもあります。
「どのように場を作り、どのように伝えて、どのように接するのか」は動物看護師も考えなくてはなりません。
次では、SHAREで動物看護師がどのような形でサポートできるのかを見ていきましょう。
SHAREを通して動物看護師ができること
動物看護師は受付や電話、面会対応など、獣医師が治療に専念できるようサポートしていきますが、予約を取ったり、先生につなげたりするのは動物看護師が行いますよね。
がんを伝える前の場のセッティングやその後のフォローは動物看護師が行う場合が多いので、流れを理解して獣医師のサポートをします。
まずはSHAREプロトコルを見ていきましょう。
SHAREは以下のような流れになっています。
- 準備:重要な面談であることを伝える
- 基本:面談中に気を付けること
- STEP1:面談を開始する
- STEP2:悪い知らせを伝える
- STEP3:治療を含め今後のことについて話し合う
- STEP4:面談をまとめる
獣医療の場合、準備では家族に重要な面談であることを伝えて、動物病院に来てもらう必要がありますが、その予約を取ったり荷電する際にいくつか注意しないといけないことが2点あります。
- プライバシーを確保する
- 忙しい時間帯をさける
できるだけ、獣医師と家族がじっくり話せる時間を確保し、他の人と接しないような場所を用意しましょう。
また、面談が開始したら途中で獣医師を呼び出したり、割って入るようなことはしないように気を付けます。
もし、獣医師から同席を依頼された場合は家族に礼儀正しく挨拶するようにしましょう。
獣医師には話しづらいことも動物看護師には話してくれる場合もあります。
がんと伝えられた後の家族の精神的なケアは動物看護師も参加し、チーム全体でフォローしていくのが理想的です。
まとめ
SHAREプロトコルは獣医療でも使える場面はとても多く、それに動物看護師が関わることもあります。
獣医師のサポートと同時に飼い主のフォローも動物看護師の役目です。
人と接する機会が多い動物看護師だからこそ、コミュニケーションスキルを上げていきましょう。
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