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動物看護に必須の知識「投与量の計算方法」

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動物に薬を投与する際には、投与量を計算する必要があります。

その際に、獣医師の指示通りにパパっと計算をし、用意をするスピード感が重要となってきます。

この記事では、いざというときに慌てないよう、投与量の計算について愛玩動物看護師専門の当サイトが詳しくお伝えしています。

「薬の計算がいまいち苦手だな…」という動物看護師さんは、ぜひ読んでみてください。

目次

投与量の計算

まず、全ての薬において、『○○mg/kg』や『△△μg/kg/min』などと投与するべき量が決まっています。

  • 前者の場合は『体重1kgあたり○○mgを投与してください』
  • 後者の場合は『1分間で体重1kgあたり△△μgを投与してください』

という意味となります。

よく用いるのは前者の方ですが、循環器の薬や一部の消化管運動改善薬など持続的に薬を投与したい場合には後者の表記をします。

投与するべき量は、薬ごとに決まっておりこれに基づいて投与量を計算します。

例えば、抗生剤のアンピシリン(ABPC)の場合は、

  • 10~30mg/kg s.c.またはi.vまたはp.oまたはi.m. BID~TID

消化管運動改善薬のメトクロプラミドの場合は、

  • 0.2~0.5mg/kg s.c.またはp.o. TID

H₂受容体阻害薬のラニチジンの場合は、

  • 1~2mg/kg p.o.またはi.v. BID

※s.c.:皮下注射、i.v.:静脈注射、p.o.:経口投与、i.m.筋肉注射、BID:1日2回、TID:1日3回

カルテ用語や略語についてはこちらの記事をご参考にしてください。

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計算は『比の計算』ができれば簡単!

例えば、アンピシリン(商品名:動物用アミペニックス)の場合には、1バイアルあたり1g含まれています。

※1バイアル(アンプル)にどれくらいの薬が含まれているかは、メーカーや種類によって異なるため、その都度確認が必要です。

これを注射用水5mlで溶いたならば、1ml中に0.2g(200mg)含まれていることになります。

「5kgの子で20mg/kgのアンピシリンを用意してください」と獣医師に言われた場合は、以下のように計算していきます。

アンピシリンは5(kg)×20(mg)=100(mg)必要となります。

今回は、1ml中に200mg含まれている注射液を作製しました。

100mgのアンピシリンが必要なので、100÷200=0.5(ml)用意すればよいということになりますね。

練習問題

では、いくつか練習をしてみましょう。

Q1:「5kgの子で20mg/kgのセファゾリンを用意してください」

あなたの動物病院には、1バイアル中に1g含まれているセファゾリンがあったとします。

A:注射用水5mlで溶くと、セファゾリンは1ml中に0.2g(200ml)含まれていることになります。

今回、5kgの子で20mg/kgを用意してほしいと言われているので、

5(kg)×20(mg)=100mgのセファゾリンが必要と言うことになります。

1ml中に200mg含まれている注射液を作製したため、100÷200=0.5(ml)用意すればよいということになりますね。

なお、動物病院によっては『セファゾリンは20mg/kgで投与する』と決まっていることもあります。
(セファゾリンの投与量は10~30mg/kg)

その場合、「5kgの子のアンピシリンを用意してください」と○○mg/kgを省略して指示されることもあります。

そのため、薬ごとに薬用量を覚えておく必要があります。

Q2:「3kgの子でメトクロプラミド(プリンペラン)を0.2mg/kgで用意してください」

メトクロプラミドの注射液は、1アンプル(2ml)あたり10mg含まれています。

つまり、1mlあたり5mgのメトクロプラミドが含まれていると言うことになりますね。

A:3kgの子の場合、0.2(mg)×3(kg)=0.6(mg)のメトクロプラミドが必要と言うことになります。

メトクロプラミドは1mlあたり5mg含まれているので、0.6÷5=0.12mlを用意すればよいと言うことになりますね。

この場合も、動物病院によっては『メトクロプラミドは0.2ml/kgで投与する』と決まっていることもあり、毎回0.2mg/kgで用意してという指示がない場合もあります。

(メトクロプラミドの投与量は0.2~0.5mg/kg)

まとめ

投与量を計算するためには、『1バイアル(アンプル)にどれくらいの量の薬が含まれているか』と『その薬の薬用量』を理解・暗記する必要があります。

動物に薬を投与するタイミングは毎日のようにあります。

毎回計算せずとも瞬時に投与量が出てくるくらいまでしっかりトレーニングをするようにしましょう!

参考資料
  • 桃井康行,小動物の治療薬 第3版,文永堂出版,2020
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