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【動物看護】エンゼルケア(死後処置)のやり方

angel care

動物病院で働いていると、いつかは動物の死に直面します。

とても悲しいことですが、動物のために、飼い主さんのためにも必ずしないといけない処置があります。

それは「エンゼルケア」です。

一度は聞いたことがあるという方も多いと思いますが、

  • リスト
  • エンゼルケアって具体的に何をするの?
  • そもそもエンゼルケアって?
  • やり方はどうするの?

という部分が分からない方はいっぱいいます。

そこで愛玩動物看護師専門の当サイトが詳しくお話ししていきます。

エンゼルケアが初めてという方でも分かるように、丁寧に解説していきます。

エンゼルケアのやり方を手順ごとに分けて進めたいと思います。

目次

この記事を見ると

  • エンゼルケアの意味が分かる!
  • エンゼルケアのやり方・手順が分かる!
  • エンゼルケアの注意点が分かる!

エンゼルケア(死後処置)とは?

「エンゼルケア」は、患者(動物)の死後に外見を整えたり、体液等が出ないように詰め物をすることです。

死後直後は体が「血液、吐物、便、尿」などで汚れていたり、留置や気管挿管等の挿入物が入っています。

それらを除去して、飼い主さんにきれいなお体をお見せすることが目的です。

エンゼルケアの目的

死後直後に飼い主さんが立ち会ったあとは、エンゼルケアを素早く行わないといけません。

なぜかというと、

  • 硬直が始まる
  • 便や尿などの体液が出てくる
  • 腐敗ガスで臭気が発生する

もし、硬直が始まってしまうと口が開かなくなり、詰め物ができません。

時間がたつと、便や尿などの体液が出てきて、詰め物をしていないときれいにしたお体も

再度汚れてしまいます。

死後から少し経つと、腸内細菌の増殖や胃酸、消化液の融解によって腐敗ガスが発生し、臭気が出ます。

それらを防ぐためにも、素早く行いましょう。

エンゼルケアのやり方

エンゼルケアで用意する物

エンゼルケアで必要な物は、

  • ペットシーツの大サイズ(数枚)
  • ディスポグローブ
  • マスク
  • エプロン(必要に応じて)
  • 綿棒
  • コットン
  • ガーゼ
  • グルーミングセット(スリッカー、ピンブラシ、コームなど)
  • 除菌・消臭剤
  • 白色のきれいな大きいタオル
  • 棺箱(必要に応じて)

死後直後は体の周りが体液等で汚れていることがありますので、遺体をきれいな場所へ移動するのに

大きめのペットシーツがあると便利です。

エプロンは、もしも遺体が大型犬で体液が自分に付着する可能性があるという場合に使用してください。

棺箱は必要があれば用意しますが、飼い主さんによっては「持参のブランケットなどに包んでほしい」や

「抱っこして帰る」ということもあるので、ヒアリングしてご意向に沿いましょう。

エンゼルケア6つの手順

エンゼルケアは手順通りにやると正確に素早く行えます。

①留置や気管チューブ等を抜去する

動物病院内で亡くなった場合は、処置や心肺蘇生によって留置や気管チューブが挿入されていることがあるので、

それらを素早く除去します。

また、留置の止血はいつもより長めに圧迫します。

胸腔・腹腔ドレーンや経鼻カテーテル等が挿入されていると、固定している糸がついているので、

必ず抜糸をしましょう。

②排尿・摘便を行う

次に行うのは排泄物を処理することです。

尿の抜去は、ディスポグローブを着用して「導尿カテーテルもしくは圧迫排尿」で行いましょう。

摘便(徒手的に便を排出)も可能な限りやりますが、内臓疾患の患者さんは正常便ではなく、

水様便の場合もあるので状況に応じて判断します。

③口・鼻・耳・肛門・膣に詰め物をする

体の各腔にコットンを詰めて体液が漏出しないようにします。

詰め方は、コットンを小さくねじって、攝子や鉗子、綿棒の細い側などを使い

外から見えないように気をつけながら、奥へ詰めていきます。

もし、外から詰め物が見えてしまうと、ご家族の気分はあまりよくありません。

容貌の変化に注意しましょう。

また、小型犬や動物種によっては詰め物ができないこともあります。必要に応じて行いましょう。

ちなみに最近では以下の理由から詰め物をしないという考えもあります。

詰め物は漏出や臭気発生防止の目的で行われますが、詰め物をすることによって、外見を損なわれご家族が望まないこともあります。
詰め物以外の方法として、「冷却」で腐敗を抑えて体液の漏出を防止するやり方も行われています。

いずれも、施設の方針やご家族のご意向に従ってください。

④全身を清拭もしくはシャンプーをする

ヒトのエンゼルケアでは全身を清拭するだけですが、動物は被毛があるので、体液や死後直後の状態に応じて、

シャンプーをします。

シャンプーした後はしっかり乾かすようにしてください。

体をきれいにする途中で口腔ケアも同時にします。

口腔は臭気のもとになるので、ガーゼを使って素早くきれいにします。

重度の歯石が付着していることもあるので、可能な範囲で問題ありません。

⑤グルーミングセットで毛並みを整える

体がきれいな状態になったら、最後に全身をスリッカーやコームを使って毛並みを整えます。

顔周りや手足先、胴体、臀部付近を順番にしていきます。

そのときに毛玉があるようなら除去してあげましょう。

施設にトリートメントのミストタイプがあれば、肛門付近に噴霧します。

⑥体を棺箱に入れる

飼い主さんにご意向によって、「棺箱に入れる、抱えて帰る、持参のブランケットに包む」などが異なります。

聞くことが可能な状況なら、飼い主さんに確認しましょう。

棺箱に入れる場合は、棺箱の中に白いタオルを敷いてその上に体を置きます。

抱える場合は、処置台に白いきれいなタオルを敷いて、顔が見えるように体を包みます。

エンゼルケアの注意点

エンゼルケアを行うにあたりいくつか注意点があります。

  • 合掌をしない
  • 消毒液を使わない
  • 勝手に剃毛をしない

初めてのエンゼルケアで勘違いされる方もいらっしゃいますが、合掌はしません。

あくまでも動物は動物なのでヒトとは違いますから、飼い主さんの前で合掌をするようなことは

無いようにしましょう。

消毒液は皮膚にダメージを与えてしまうので、エンゼルケアで使用するのは適しません。

「勝手に剃毛をしない」についてですが、

飼い主さんを含めたご家族は生前の姿のままを希望されるので、外見が変わるようなことは基本的にしません。
体液の付着でどうしても切らないといけなかったり、剃らないといけないときは、飼い主さんへ事前に許可を得るようにしてください。

飼い主さんに伝えること

死後直後は飼い主さんはとても深い悲しみにある状態です。

そんな中、話しかけづらいと思うことはありますが、それでもいくつかお伝えしないといけません。

何かというと、

  • 自宅に帰ったあとの流れ
  • 葬儀場のご案内
  • 目は閉じないということ

初めてペットを飼った方も多く、亡くなったあとの流れが分からないと悩まれる飼い主さんもいるので、

自宅に帰ったあとの流れをお伝えしましょう。

飼い主さんによって異なりますが、1~3日は自宅で一緒にいたりすることが多いです。なので、自宅に帰った後は保冷剤やペットボトルに水を入れて、体の周りに置くようにお伝えします。
夏場なら、なるべく涼しいお部屋に移動することも合わせてお伝えしましょう。

ペットの葬儀は、「火葬か埋葬」があります。
ご家族によっては、自宅の庭に土を掘って埋葬することがありますが、ここで注意しないといけないのは、自宅の敷地内のみというこです。もし、公園や他の敷地内に埋葬すると法律違反になってしまうので、埋葬を選択される方にはお伝えしましょう。

火葬の場合は、動物病院に近くの葬儀場をご案内します。飼い主さんからのよくある質問として、目は閉じないのですか?と聞かれることがあります。ヒトと違い、目は死後直後から開いたままになってしまいますが、施設によっては、接着剤などで目を閉じる処置を行うこともあります。

まとめ

エンゼルケアの手順は以下の通りです。

  1. 留置や気管チューブ等を抜去する
  2. 排尿・摘便を行う
  3. 口・鼻・耳・肛門・膣に詰め物をする
  4. 全身を清拭もしくはシャンプーをする
  5. グルーミングセットで毛並みを整える
  6. 体を棺箱に入れる

これらは15分程度で行うのが良いでしょう。

エンゼルケアは体をきれいにするだけではなく、飼い主さん心のケアも考えないといけません。

死後直後、面会の十分な時間を取らずに、すぐ始めるということはしないようにしてくださいね。

体をきれいにしてお見送りをするそれが動物看護師として最後の看護です

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