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【動物看護師】完全血球計算と生化学検査の基礎

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CBC(完全血球計算)や生化学検査などの血液検査は、動物看護師にとって、日常でよく行う検査の一つです。

そのため、その検査内容の意味を理解することはとても大切です。

しかし、

・各項目の意味ってなんだっけ?
・MCVやMCHって?
・肝臓の評価に必要な検査項目は?
・CRPやSAAって何を表すマーカー?

などがしっかりと覚えてない方もいると思います。

そこで、愛玩動物看護師専門の当サイトが、CBCや生化学検査動物看護師が覚えるべき内容について詳しく丁寧に解説していきます。

血液検査の基礎を学び、日頃の診察補助に活かしたい方は、ぜひ読んでみてください。

また、各項目の説明前に「血液検査の基本」をご覧になっていない方は、こちらもご参考にしてください。

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目次

動物看護師が覚えるべき血液検査~CBCと生化学検査

日常での診察業務でルーチンに行う血液検査には、

・CBC(完全血球計算):血液中の細胞成分を調べる
・生化学検査:血液中の細胞以外(液体部分)の様々な成分を調べる

があります。

両者は基本的に同時に行い、スクリーニング検査や健康診断などにおいて、必須の検査項目となります。

以下で、それぞれ分けて説明していきますね。

CBCとは?

CBCとは完全血球計算のことで、英語ではcomplete blood countといいます。

一般的に、血球計数は、自動血球計算器を用いて測定されます。

測定・計算できる項目としては、

  • 白血球数:血液中の白血球数
  • 赤血球数:血液中の赤血球数
  • 血小板数:血液中の血小板数
  • ヘモグロビン:赤血球に含まれるタンパク質
  • ヘマトクリット(PCV、Ht)
  • MCV(平均赤血球容積):赤血球1個当たりの大きさ
  • MCH(平均赤血球血色素量):赤血球1個当たりのヘモグロビン量
  • MCHC(平均赤血球血色素濃度):赤血球1個当たりのヘモグロビン濃度

などがあります。

白血球数

白血球とは、病原体など外部から侵入した異物を取り込んで処理する細胞です。

好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、単球の大きく5つの種類に分類されます。

白血球が高くなる原因として、

  • 各種感染症
  • 自己免疫疾患
  • 白血病
  • ステロイドの投与
  • ストレス

などがあり、低くなるときには、

  • 感染症
  • 骨髄疾患
  • 薬剤の投与

などが考えられます。

白血球数の異常が見られたときには、必ず血液塗抹を作成し、どの白血球が増えていて(百分比)どんな形態をしているのか(中毒性変化や封入体・病原体の有無など)をしっかり肉眼的に確認する必要があります。

赤血球数

赤血球とは、体中に酸素を運搬し、不要になった二酸化炭素を回収する役目を持つ細胞です。

ヘモグロビン(赤血球中に含まれる赤い色素)やヘマトクリット(血液に占める赤血球の割合)、MCV、MCH、MCHCなどと同時に評価を行います。

1歳未満の動物では、通常ヘマトクリット値がやや低く、2か月齢までの動物では30%未満のこともあります。

ヘマトクリット値の上昇は、脱水が主に考えられ、また低いときには貧血状態を示しています。

その際には、ニューメチレンブルー染色を行い、血液再生の指標である網状赤血球の数を確認する必要があります。

血小板数

血小板とは、止血や血液の凝固に関わる細胞です。

採血時に凝固してしまった場合には、著しく低値となることに注意が必要です。

キャバリアにおいては、正常でも大型の血小板がみられ、見かけ上血小板数が少ないことがあります。

血小板が予想外に低値の場合には、塗抹標本で肉眼的に評価をしなおさなければなりません。

生化学検査とは?

生化学検査においては、血液の液体部分(血漿、血清)に含まれるタンパク質や酵素、脂質類やミネラルなどの成分を化学的に測定する検査です。

栄養状態を評価する検査項目

栄養を判断するためには、

  • TP(総タンパク質):血液中のタンパク質の総量
  • ALB(アルブミン):肝臓で作られるタンパク質で、タンパク質の中で最も多く含まる

があります。

肝臓を評価する検査項目

肝臓を評価する検査項目としては、

  • ALT(GPT):肝障害に伴い、肝細胞から逸脱する酵素
  • AST(GOT):肝疾患のモニターであるとともに、骨格筋や心筋などにも分布する酵素
  • ALP(アルカリフォスファターゼ):胆道系の細胞に含まれ、肝臓だけでなく、骨疾患や種々の薬物の影響で上昇する誘導酵素
  • NH₃(アンモニア):タンパク質の分解により、腸で作られ尿中に排泄される
  • T-bil(総ビリルビン):赤血球中のヘモグロビンの代謝産物で、肝障害によって上昇

などが重要なマーカーとなります。

腎臓を評価する検査項目

腎臓を評価する際には、主に、

  • BUN(尿素窒素):尿素中に含まれる窒素の量
  • Cre(クレアチニン):筋肉を動かすエネルギーの原料

を見ることが重要で、各々腎臓から排せつされる老廃物の一種です。

脂質検査

脂質を評価する際には、

  • T-cho(総コレステロール):血中のコレステロールの総量、コレステロール代謝に影響する各種疾患の診断補助
  • TG(トリグリセリド):血液中の中性脂肪量

があります。

コレステロール値はトリグリセライドとは異なり、食事による変動を示さないことが特徴です。

その他

他にも重要な血液検査の項目は多くあり、

  • CRP(C反応性タンパク):急性炎症で増加するタンパク質、犬で用いる
  • SAA(血清アミロイドA):急性炎症で増加するタンパク質、猫で用いる
  • Glu:血糖値
  • リパーゼ活性:主に膵臓、消化管から出る消化酵素
  • 電解質:Na,Cl,Kなど血液中のミネラル成分

といったものの評価も大切です。

その他の血液検査項目

他にも、血液検査においては、

  • 血液ガス(酸素分圧、二酸化炭素分圧、HCO₃‐濃度、pHなど)
  • 血液凝固、線溶系検査(フィブリノーゲン、D-ダイマー、凝固因子など)
  • 内分泌学的検査(コルチゾールや甲状腺ホルモン、エリスロポエチン)
  • 免疫学的検査(アレルゲン検査やクームス試験、リウマチ因子など)
  • 感染症・免疫血清診断(各種感染症の検出)

などといった様々な検査を行うことができます。

あらゆる場面において、どんな検査を行い、どういった解釈ができるのか?をしっかり考え、動物の看護を行うようにしましょう。

参考資料
・FUJIFILM
・桃井康行,どうぶつ病院臨床検査,ファームプレス,2009
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