ミルクをうまく飲めない子犬・子猫や動物病院での帝王切開で生まれた新生子については、速やかな処置が求められます。
慌てず対応するためには、あらかじめ新生子管理について学んでおく必要があります。
この記事では、
・哺乳のタイミングや回数
・子犬・子猫の発育過程
といった、動物看護師が新生子管理を行う際のポイントを愛玩動物看護師専門の当サイトが詳しく丁寧に解説しています。
子犬・子猫の命は動物看護師の賢明な看護にかかっていますので、要点をしっかり学び、いざというときに備えましょう。
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動物看護師が新生子管理を行う際のポイント
難産や帝王切開での分娩の場合には、胎子が弱っていることもしばしばあります。
助産でも帝王切開であっても、まずは新生子の口および鼻腔内の余分な液体を吸引する必要があります。
最も簡単で確実な方法は、人の口での吸引です。
新生子の鼻と口を覆って、息を吸い込むようにして排出させましょう。
また、胎便に覆われた状態で取り上げられることも多く、胎便を飲んでしまっていることもあります。
この場合には、新生子をタオル等でしっかりと把握し、遠心力で吐き出させてあげましょう。
獣医師の指示のもとで、呼吸促進薬を口腔内投与する場合もあります。
タオルで新生子の体を十分にマッサージすることも、呼吸の促しや体温保持には重要です。
粘膜の色が悪い場合には、100%酸素を口元でかがせてあげましょう。
呼吸が見られない場合には、新生子の鼻と口を覆って、人の口先で息を吹き込むようになります。
体温の管理は重要
呼吸をしっかりしており、誤飲をしていなかったとしても、体温の管理は重要となります。
新生子は体温保持を自らですることは難しく、母親から少々離れるだけでも、簡単に体温が低下してしまいます。
体温計を用いて測定し(平熱38.0~39.0℃程度)、低体温の場合には、「温かいお湯につけたり、保温マットやドライヤー」を用いて温めてあげましょう。
その際には、熱くなりすぎないよう注意が必要です。
哺乳のタイミングや方法、回数
母親がいる場合には、まかせて大丈夫です。
生まれた子犬・子猫はすぐに自分で母乳を求めて移動します。
ただ、母親がうまく育てないときや早産の場合などには、人が介入して育ててあげる必要があります。
また、初乳(生後24~48時間ごろまでに出る母乳)は免疫グロブリンが豊富なため、しっかり飲ませるようにしましょう。
吸いついていない場合には、絞ってでも飲ませてあげましょう。
ミルクは、作り置きせず、飲ませるたびに作る必要があります。
量や濃度は各メーカーによって異なるので、缶や箱の側面の表記をみて作るようにしましょう。
熱すぎず、冷たすぎずの温度であげることも大切です。
哺乳の飲み口は、食事の度に洗浄し、破損していた場合には速やかに交換するようにしましょう。
また、穴が小さすぎて吸えないこともあるので、しっかり穴からミルクが出るのかの確認も重要です。
生後2週齢ごろまでは、2~3時間おきくらいに飲ませ、それ以降離乳期までは4~6時間ごとに飲ませてあげましょう。
歯が生えてきたころには、乳首の先を噛み切って誤飲しまうこともあるので、ふやかした食事に移行するようにするといいです。
一般的に離乳時期は、35~45日齢くらいとなります。
排せつについて
母親がいる場合には、舐めとることで排せつが刺激されますが、人工哺育の場合には、人が介助してあげる必要があります。
お湯で濡らしたタオルやコットンなどで陰部をトントンと刺激してあげ、排尿や排便を促してあげましょう。
排せつの刺激は、哺乳前には必ず行うことで、ミルクの吸いつきがよくなります。
自分で排せつができるようになるのには生後20日前後かかるので、それまでは刺激での排せつ介助が必要です。
子犬・子猫の発育過程
子犬・子猫の発育過程では、
- しっかり食欲はあるのか?
- 排便・排尿があるのか?
- 体温は正常か?
- 体重は増えてきているのか?
の確認が重要です。
子供の頃はある程度飽食でよく、食べなくなるまであげても大丈夫です。
よちよち歩きだすのに10~20日前後、目が開くのに10~15日前後かかります。
体重は毎日どんどん増え、犬や猫、品種などの個体によって異なりますが、1日に5~10%程度の体重が増えるようになります。
まとめ
動物看護師が新生子管理を行う際には、
「この時期には、正常の子犬・子猫はどんな状態で、何がどんなタイミングで必要なのか?」
をしっかり理解しておくことが重要です。
そのためには、
- 哺乳タイミングや回数
- 体温・排せつ管理
- 呼吸ができない場合の対応
- 子犬・子猫の発育過程
などをあらかじめ知識としてつけておくようにしましょう!
・辻本元,小山秀一,大草潔,中村篤史,猫の治療ガイド,EDWARDPress,2020
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