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動物看護師の基本「バイタルサイン4つの項目」

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先生の指示で「バイタルを確認しといて!」と言われることがありますよね。

動物看護師なので当然ですが・・

バイタルを確認したのはいいけれど、

そもそも、

  • バイタルサインって何を測ればいいんだっけ?
  • 犬と猫それぞれの正常値は?
  • 教科書によって正常値が違うのはなぜ?
  • このバイタルサインを測定する意味は?

などを、新人のころに誰しもが疑問に感じたことがあると思います。

そこで、愛玩動物看護師専門の当サイトが「バイタルサイン」について丁寧に解説していきます。

新人の動物看護師も、1~2年目の動物看護師も一緒におさらいしていきましょう。

目次

犬猫のバイタルサイン4つの項目

初めにバイタルサインとは、「生命(vital)兆候(sign)」のことで、動物の状態を把握する客観的な情報になります。

一言で表すと、「生きている証拠」ということです。

基本のバイタルサインは、

  • 体温(T emperature)
  • 脈拍(P ulse)
  • 呼吸(R espiratory)
  • 血圧(B lood P ressure)

以上4つの項目です。

ちなみに、よく聞く「TPR」とは、「体温、脈拍、呼吸」の頭文字をとったものになります。

犬・猫の「体温、脈拍、呼吸、血圧」の一般的な正常値

犬と猫でバイタルサインの一般的な正常値が異なります。

また、教科書によって書いてある正常値が違うこともありますが、あくまでも参考程度にしておきましょう。

それよりも、「なぜ測定するか」を知るほうが重要です。

項目 犬の正常値猫の正常値
体温(T)37.5 ~ 38.5℃38.0 ~ 39.0℃
脈拍(P)60 ~ 120 拍/分120 ~ 200 拍/分
呼吸(R)18 ~ 36 回/分24 ~ 42 回/分
血圧(BP)MAP 80 ~120mmHg MAP 80 ~120mmHg

※個体差等によって値は異なります

では、それぞれの項目を詳しく見ていきます。

体温(T)

ヒトを含む哺乳類は、ホメオタシスの働きによって体温調節ができます。

環境温度が変わったとしても、体温を一定に保つことが可能なので、

もし、体温の上昇や低下があれば、何か大きな要因があると判断できます。

例えば、
体温が高い場合に、考えられることは「感染症や炎症、腫瘍」などによる発熱です。
反対に体温が低い場合は、「血流が悪い」ということを意味します。

体温だけで疾患の特定はできませんが、体温の上昇や低下があれば、体の中で何かが起きているという証拠になります。
なので、体温測定は患者の客観的なデータの一つを得ることができる大事な項目です。

また、ヒトでも個体差によって平均体温の低いや高いはありますが、犬や猫も同じです。

体温について詳しくはこちらをご参考にしてください。

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脈拍(P)

脈拍とは、心臓の収縮で動脈血にかかった圧が、「股動脈」などの体表から触れることができる波動のことを指します。

「股動脈」などの血管が拍動した回数のことを脈拍数と言います。
ちなみに、心拍数は心臓の拍動回数のことです。

基本的に脈拍数は心拍数と等しいので、脈拍数を測定すると心拍数が分かります。
ただし、不整脈の場合は十分に血液を送り出すことができないので、末梢血管では圧を蝕知することができません。
脈拍数を測定するときは、心音を聴取しながら脈拍を蝕知するのが良いでしょう。

また、脈拍数=心拍数が一般的な正常値より早いときは、「運動、疼痛、興奮、脱水、貧血、心疾患、低血圧、ショック」などの可能性があるので、血圧(BP)も合わせて測定するようにしましょう。

呼吸(R)

呼吸からは、「呼吸数、呼吸様式、呼吸リズム、呼吸音」の情報が得られますが、

その中でもバイタルサインの一つである呼吸数は、生命活動を維持するためにとても重要な項目です。

呼吸数は「胸壁の運動や鼻孔の開閉」を観察して測定します。

10秒間数えて×6をするか、30秒間数えて×2をすると、1分間あたりの呼吸数が分かります。

また、呼吸数を測定する場合は、必ず動物を安静にしておきましょう。

呼吸数が異常に早いことを「呼吸促拍」と言います。

呼吸促拍は、「運動後、興奮、疼痛、高体温、貧血、神経筋系疾患、呼吸器系疾患」などでよく見られます。
呼吸が早いということは、「酸素が足りない、酸素が吸えない状態、痛み、興奮」の可能性があるので、
呼吸様式や呼吸リズム、呼吸音も合わせて観察する必要があります。

呼吸について詳しくはこちらをご参考にしてください。

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血圧(BP)

血圧とは、心臓の収縮で送り出された血液が、血管内を通る時の圧力のことです。

基本的に脈拍数と合わせて測定します。

また、呼吸数と同様に測定するときは、必ず動物を安静にしておきましょう。

血圧は、「循環動態」を表す大事なバイタルサインです。

例えば、「心収縮力の低下、不整脈、敗血症、ショック状態」などで低血圧になることがありますし、もしも出血がある場合は、血液量は減るので血圧は低下します。
血圧が低いということは、何かしらの原因で脳など体の隅々まで血液が届けられていないということですから、そのときは循環動態を安定させる必要があります。

その他のバイタル「体重と意識レベル」

基本的なバイタルサイン4つの項目以外には、「体重と意識レベル」というのがあります。

この二つも大事な項目なので、それぞれ見ていきましょう。

体重(BW)

体重は、肥満や削痩といったように栄養状態を判断するのに必要な情報です。

また、薬用量を算出するときに体重は不可欠なので、バイタルサインと合わせて必ず測定しましょう。

体重の測定は、過去の値と比較してどのくらいの変化があるかを確認できます。

例えば、嘔吐や下痢などで体液を喪失していると、体重は減少します。
もし、正常時の体重が分かれば、過去と比較してどのくらい脱水を補正するかの参考にできますし、
他にも、短期間の体重減少なら「食事の問題、消化不良、生理的」などの可能性も考えられます。
体重から得られる情報はとても多いです。

意識レベル(LOC)

意識レベルは、動物看護師の五感や経験を使った主観的な総合評価です。

例えば、ある犬が「いつもは活動性が高くて、呼ぶと尻尾を振って来る」ときは意識レベル100%の状態ですが、「嘔吐を繰り返していて、ご飯を食べず、あまり動こうとしない」という状態なら、尻尾は垂れ下がって、いつもより元気はないでしょう。

となると、意識レベルは70%くらいになります。

このように、今どのくらいの意識状態なのかを主観的に観察することで、客観的なデータだけでは分からない、些細な変化にも気づくことができます。

飼い主さんがよく言う「いつもと様子がおかしい」というのは、この意識レベルを無意識に評価できているから、気づけるわけですね。

また、詳しい意識レベルについては、この記事をご参考にしてください。

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<客観的と主観的とは?>

客観的が、誰が見ても同じデータになるということで、
主観的が、個人的な考えということです。

例えば、チワワの「体重が6.25kg」で「肥満傾向」にあったとしましょう。
この「体重が6.25kg」というのは、全国の誰が見ても「6.25kg」ですよね。つまり、誰が見ても同じデータということです。
では、「肥満傾向」はどうでしょうか。
肥満傾向というのは、そのチワワを見た本人しか分からないですよね。
もしかしたら、人によっては少しだけ肥満傾向と言うかもしれませんし、重度の肥満傾向となるかもしれません。
あくまでも、データではなく、見た人の考えに過ぎないということです。
もし、肥満傾向というのを客観的にする場合は、「BCS 4/5」と表せば誰がみても肥満傾向ということが分かります。

参考リンク:ヒルズ BCS(ボディコンディションスコア)

まとめ

基本のバイタルサインは

  • 体温(T)
  • 脈拍(P)
  • 呼吸(R)
  • 血圧(BP)

の4つでしたね。

もし先生にバイタル確認しといて!と言われたら、特別な指示がない限りはこの4項目を測定しましょう。

また、バイタルと合わせて

  • 体重(BW)
  • 意識レベル

この2つも重要な項目なので、確認しておきます。

バイタルは動物看護の基本ですが、検査や治療に必要な情報なので、各項目は必ず理解しておきましょう。

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