1年目の動物看護師が必ず行う業務の一つ「問診」があります。
しかしあまり教えてもらえずに、先輩から「はい。やってきてー」と言われてしまうことが多いと思います。
でも、
- どうやってやればいいの?
- そもそも何を聞けばいいの?
- 習ったことないし
- 「5W1H」でと言われても、、
などなどの疑問があると思います。
そこで、愛玩動物看護師専門の当サイトが「問診方法」について詳しく丁寧に解説していきます。
明日から実践できる内容になっているので是非お試しください!
問診とは何かおさらいしよう
そもそも動物病院での問診ってどういうことなのか確認しましょう。
<動物病院の問診とは>
獣医師が診断の参考にするために、動物看護師が飼い主と会話をして現在までの動物の状況を把握することです。
もっと簡潔に言うと「飼い主と話して、今の状態を知るという」のが目的になります。
ちなみに、問診をしないでいきなり診察をした場合、診察からお薬処方までどのような流れになるか
一緒にイメージしてみましょう。
例えば、「昨日から嘔吐と下痢を繰り返している」犬がいるとします。
もしあなたが獣医師だとして、「嘔吐と下痢」を治さないといけないのですが、検査や治療にあたって気になるポイントはいくつかありませんか?
- いつから嘔吐してるの?
- 嘔吐したものってフード?それとも胃液?
- 嘔吐の中に血って混じってた?
- 下痢ってどのくらいの下痢?
- 下痢はドロドロ?それともサラサラ?
- 血は混じってた?
- フード変えたりした?
- 何か異物誤飲とかした?
って思いませんか?
さらに言うと、「犬種は?何才なの?既往歴は?メス or オス?」などの情報も欲しいですよね。
これらを先生の診察前に、飼い主から必要な情報を聞いておくのが問診です。
問診のやり方と流れ
では、実際に問診のやり方と流れについて解説していきます。
問診の流れはこのようになります。
- 状態を把握する
- 患者情報を聞く
- 一般状態とバイタルサインを確認する
- 既往歴を聞く
それぞれのやり方①~④を詳しく見ていきましょう。
①状態を把握する
状態を把握するでは、「動物が今どのような状態なのか」に注目しますが、
最初に「救急か救急ではないか」を判断しないといけません。
例えば、
来院時、明らかに呼吸していないと思われる場合は、「犬種、年齢、体重、いつからこの状態か」だけを聞いて、獣医師へ直ちに報告するか連れていきましょう。
救急ではないときの聞く内容は2つです。
①いつからこの状態・症状だったのか(〇日前からなど)
②きっかけはあるのか(階段から落ちたなど)
呼吸をしていないなどの救急時は、詳細な内容を聞くより処置に必要な情報だけを聞いて、①~④に関係なく直ちに獣医師へ報告する必要があります。
救急ではない場合は、「いつからなのか」と「そのきっかけ」についてを詳しく聞きましょう。
②患者情報を聞く
患者情報で必要な項目は6つあります。
- 動物種(犬、猫、うさぎなど)
- 種類(チワワ、マンチカンなど)
- 年齢
- 性別(去勢・避妊も確認)
- 体重
- 動物の名前
通常、問診の際は問診票をお渡しするので、飼い主の名前や住所などは問診表に記載されています。
患者情報を聞くで大事なことは、「動物のことを詳しく知る」というイメージです。
例えば、未避妊か避妊済みなのかによって、考えられる病気がありますし、体重も処置や診断の参考になります。
飼い主の名前や住所などは、問診の際にお渡しする「問診表」に記入してもらいましょう。
ちなみに、患者情報を聞く際に「ヒアリングシート」を使うと必要な情報を忘れずに聞くことができて、簡単に内容がまとまります。
ヒアリングシートについてはこちらの記事をご参考にしてください。
③一般状態とバイタルサインを確認する
一般状態とは、「 意識レベル、元気、食欲、排泄」のことです。
バイタルサインとは、「体温、心拍数、呼吸数、血圧」のことです。
バイタルサインの基本4つの項目については、こちらをご参考にしてください。
一般状態を飼い主さんに聞くときは、分かりやすい言葉にします。
例えば、「尿や便は出ていますか?」、「食欲はいつもと変わらないですか?」のように話ことばで聞くように意識しましょう。
バイタルサインで血圧計などが無いときは、TPRを取りましょう。
TPRとは「体温、心拍数、呼吸数」のことで、英語の頭文字をそれぞれ取った呼び方です。
聴診器で心拍数を測定しますが、ない場合は股脈で蝕知し、呼吸数は目視で確認します。
ちなみに、動物看護を極めるためにはフィジカルアセスメントというのを理解しておく必要があります。
<フィジカルアセスメントについて>
動物看護師は動物の看護をするとき、根拠に基づいて必要な看護をして、実施したケアを評価します。
そもそもフィジカルアセスメントというのは、「主観的情報と客観的情報をもとに、動物の状態や状況を判断する」ことです。
つまり、主観的情報は問診のことで、客観的情報はTPRなどの誰が見ても同じ数値と判断できる情報のことを言います。
フィジカルアセスメントの手順は、「問診⇒視診⇒聴診⇒触診⇒打診」が基本です。
「飼い主から聞いて、動物を見て、心肺腸の音を聞いて、全身を触って、身体に振動を与えて」、のように動物看護師の五感を使って行います。
五感を極めるには、日々の動物看護に対する意識が大切です。
短期で習得することは難しいので、コツコツと五感を使っていきましょう。
災害時や自宅などで、道具が無くても患者の状況を判断できる術をぜひ身に付けてくださいね。
④既往歴を聞く
既往歴では、今までどのような疾患を患ったことがあるかを聞きます。
また、「現在治療中の疾患」や「内服薬」があれば必ず聞くようにしましょう。
既往歴の内容は今の起きている症状に関係していることも多く、検査や処置に必要な情報が手に入ります。
例えば、
既往歴に異物の誤飲があれば、もし今起きている症状が「嘔吐」や「吐きたそうなのに吐けない」などなら、飼い主に、何か拾い食いをしてしまった可能性はありますか?と必ず聞きましょう。
飼い主は状況などを自ら話してくれることもありますが、動物病院に来ている時点で混乱していたり、焦っていたりするので、動物看護師側から聞き出す必要があるというのも覚えておきましょう。
専門用語で正確に伝える
問診後は獣医師に報告しますが、その時に正しい用語で伝えないと間違った解釈になってしまいます。
例えば、
右の後ろ足を上げている犬がいたとします
先生に伝えるとき、「今朝、ソファーからジャンプしたときにキャンと鳴いて、その後に右後肢が跛行しています」という内容と、「今朝、ソファーからジャンプしたときにキャンと鳴いて、その後に右後肢が挙上しています」という内容では全く意味が異なってしまいます。
跛行は足を引きずっていることで、挙上は足を上げていることです。
獣医師は問診を参考にして診察するわけなので、誤解を与えてしまいます。
なので正しい用語を改めて確認しておきましょう。
医療用語については下記をご参考にしてください。
まとめ
動物看護師の問診方法は、
- 状態を把握する
- 患者情報を聞く
- 一般状態とバイタルサインを確認する
- 既往歴を聞く
以上の①~④になります。
「患者が今どのような状態なのか」をイメージしながら行いましょう。
また、動物病院によっては問診方法が異なったり、バイタルサインを動物看護師が行わない場合もあるので勤務先のルールに従ってください。
問診は五感を使って行う必要があり、日々の動物看護も意識して自身の五感を磨きましょう。
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